Pythonで日本語を使う
主にPython 2.xについての話題です。
ソースの書き方編
ソースコードの1行目か2行目でソースコード自体の文字コードを指定する。
# coding: utf-8 # coding: cp932 # coding: euc-jp
emacsenなどとの互換性を考慮して以下のようにしてもよい。
# -*- coding: cp932 -*-
なお cp932 は Windows の機種依存文字を含む Shift_JIS のことである。それから以上のコメントは純粋にソースコードの文字コードを指定するだけであって、他の部分(入出力など)には一切の影響を及ぼさない。
複数の環境で動かすスクリプトの文字列は、次のように u を使って書く。
s = u"日本語"
文字コードの変換を行う場合は errors 引数を指定し、変換できない文字が見つかった場合の処理を明示する。
s.encode('utf-8') s.encode('utf-8', errors='strict') s.encode('utf-8', errors='ignore') s.encode('utf-8', errors='replace')
外部とやり取りする時に文字コードを変換して、内部では unicode を使う。以下は utf-8 で入力、cp932 で出力する例。
src = open('src_filename', 'rb') dst = open('dst_filename', 'wb') for line in src: uline = unicode(line, 'utf-8') dst.write(uline.encode('cp932'))
代わりに codecs を使ってもいい。
import codecs src = codecs.open('src_filename', 'rb', 'utf-8') dst = codecs.open('dst_filename', 'wb', 'cp932') for line in src: dst.write(line)
コンソールで化ける編
以下のコードをソースコードの先頭に記述する。
import sys import codecs enc = 'utf-8' sys.stdin = codecs.getreader(enc)(sys.stdin) sys.stdout = codecs.getwriter(enc)(sys.stdout) sys.stderr = codecs.getwriter(enc)(sys.stdout)
LC_CTYPE をきちんと設定してもリダイレクトで化けるという場合はこれで直るはず。
Eclipseで化ける編
コンソールで化ける編に加えて、pydevd.py の execfile() の手前に次のコードを挿入する。
class EclipseStdout: def __init__(self, args): self._redirectTo = args def write(self, s): if type(s) is StringType: self._redirectTo.write(s) else: self._redirectTo.write(s.encode('cp932')) stdout = EclipseStdout execfile(file, globals, locals) #execute the script
コンソールでリストや辞書の文字列を日本語のまま表示する編
ASCII 以外の文字列はエスケープされた状態で表示される[1]。以下のようにすればよい。
>>> [u'ふが', u'ホゲ'] [u'\u3075\u304c', u'\u30db\u30b2'] >>> print [u'ふが', u'ホゲ'] [u'\u3075\u304c', u'\u30db\u30b2'] >>> print repr([u'ふが', u'ホゲ']).decode('unicode-escape') [u'ふが', u'ホゲ'] >>> ["はげはげ"] ['\x82\xcd\x82\xb0\x82\xcd\x82\xb0'] >>> print str(_).decode("string-escape") ['はげはげ'] >>> [u"はげはげ"] [u'\u306f\u3052\u306f\u3052'] >>> print str(_).decode("unicode-escape") [u'はげはげ']
Python 3.x では文字列が Python 2.x の unicode に相当するものになったので、そのまま表示される。
sys.setdefaultencodingはまず使わない
sys.setdefaultencodingは文字コードのこと考えていない古いソースコードのためにある設定項目なので、これから何か新しいものを書こうとするプログラマが設定する必要はありません[2]。
Pythonは書けないが、海外で作られたアプリやMODユーティリティが UnicodeEncodeError/UnicodeDecodeError で動かないという方は、次のような設定で回避できる場合があります。
方法1:sitecustomize.pyを書き換える
- Windows であれば C:\Python27\Lib\site-package\sitecustomize.py
- Unix であれば /usr/lib/python2.7/site-package/sitecustomize.py
というファイル[3]に以下の2行を追記してください。ただし、「********」は、お使いのファイルシステムの文字コード(Windowsならcp932、Unixならたぶんutf-8)に置き換えてください。
import sys sys.setdefaultencoding('********')
以上の設定はPython全体で有効です。
方法2:ソースコードを書き換える
該当ソースファイルの先頭に次の三行を加えます。
import sys reload(sys) sys.setdefaultencoding('********')
こちらは「書き加えたソースファイルの実行環境だけで有効」になります。
sys.setdefaultencodingを使わない場合のsys.argvの取り扱い(2.x系)
# 以下は多言語のことが考慮されていない。これらの方法では文字の脱落などが生じてしまう。しかし解説を書く時間がない。
sys.setdefaultencodingを使わない場合、コマンドライン行の取得(sys.argv[n])を行うと、「wcs(UNICODE/wchar_t)ではなく、mbcs(char)として入力されて来る」ため、os.walk()やshutil.copyfile()の引数にそのまま渡すと問題になります。(ディレクトリ名やファイル名の末尾に「表」「申」が含まれる場合など。)
それらの引数に渡す前にwcs(UNICODE)へのdecodeが必要です。
import os import shutil for pathname, dirnames, filenames in os.walk(sys.argv[1].decode('********'), topdown=True): for fn in filenames: print 'copying', fn shutil.copyfile(os.path.join(pathname, fn), os.path.join(pathname, fn + '.bak'))
ただし、「********」は、お使いのファイルシステムの文字コード(Windowsならcp932、Unixならたぶんutf-8)に置き換えてください。
結局、print が必要に応じて自動的に環境に合わせたencodeで表示してくれるため、
print sys.argv[1]
とかで表示しても普通に表示されるのが混乱の原因なのですが、本来は、
print sys.argv[1].decode('********')
が正しい記述だと思っておいた方が、混乱が起きにくいと思います。
print で日本語出力
2.7 で端末に日本語出力する時は、 unicode で出力し、 setdefaultencoding は使わず、実行環境側で環境変数 PYTHONIOENCODING を設定しよう。
encode / decode が至る所に書かれてるようなコードは、保守性も悪くなるし、 3.x への移植の際に手間になります。
お使いのファイルシステムの文字コード「********」を知る方法
sys.getdefaultencoding()の代わりに、下記の方法で文字コードを取得出来ます。
import sys, locale enc = locale.getpreferredencoding() print sys.argv[1].decode(enc)